表2.5からわかるように、諸外国の多くは110V〜125Vか220V〜250Vまでの範囲かに分けることができます。ここで、電圧というのは定格電圧の上下10%までの誤差は認められていますので、入力電圧が115Vと230Vに対応した電源装置であれば110V〜125Vの範囲と220V〜250Vの範囲をカバーすることができます。
アクティブフィルタを搭載することによって、例えば入力電圧が90Vであっても、240Vであっても、350V近くまで電圧を高めるので常に二次側、つまりパソコンに供給する電圧を安定させることができます。
そのため、電圧変動に強く、電源電圧の異なる日本でも、ヨーロッパでも、どこでも切替え無しでそのまま使用することができます。
■ 高調波対策
アクティブフィルタは、ワールドワイド入力に対応する他に「電気の公害」といわれる高調波電流を抑制する効果もあるのです。図2.5を見ていただくと、アクティブフィルタを搭載したものは電圧、電流、共に正弦波です。これに対してアクティブフィルタのない非対策品の場合、電圧は常に正弦波なのですが、電流波形がとびとびの非線形波形になります。これは、例えば50Hzの商用電源を使用している場合、150Hz、250Hz、350Hz…と奇数倍の電流が流れます。一般家庭ではこれが問題になることはほぼありませんが、発変電設備ではこれが問題になります。現にオフィスビルでは空調設備、照明、オフィス機器などから発生する高調波電流により変電設備の異常発熱、機器損傷などが生じています。

図2.5 アクティブフィルタによる高調波電流の抑制
高調波を規制する規格としてはIEC61000-3-2があり、入力電流が16A以下の電子、電気機器に適応されます。また4つのクラスに分けられ下記のように分類されています。
クラスA:平衡3相機器及びその他クラスに属さない全ての機器
クラスB:手持ち型電動工具
クラスC:照明機器
クラスD:入力電力600W以下のパーソナルコンピュータ、 パソコン用モニタ、テレビ受信機
■ 力率改善
さらに、アクティブフィルタにより電流を正弦波にするので、力率が良くなります。
力率とは見かけの電力(皮相電力)と実際に消費される電力(有効電力)の差で
と表されます。
力率が低いと電源への入力電流が増加し、結果的に配電設備が有効に活用できないという事になります。